あらかき

躁鬱の即席遺書

ブルースのリズムについて

 そもそもだが、これらを文字だけで説明するのは無理がある。だが、実際に聴くだけでそれらを言語で認識する事も、私は難しかったので、今回はそれを補う事を目的として文章を綴りたいと思う。カーティスメイフィールドを聴きながら。説明足らずの稚拙な文章で。

 黒人音楽は、「グルーヴ」が重要だというのが通説である。じゃあこの「グルーヴ」なるものは一体何なんだ、というのが最初の疑問かもしれない。とても粗末な言い方をするなら「ノリ」である。それはリズムだとかシンコペーションだとかテンポだとか、それを構成するものは数多い。故に具体的にこれといった定義は、一般的に定まっていない。自分にとってのグルーヴを定義する旅はそこから始まるのだ。

 さて、この「グルーヴ」なるものは、音楽のジャンルによっても、やはり若干の違いが生じる。身体の使い方や、楽器の奏法、歌い方など、些細な変化でそれらは意外なほど影響を受けてしまう。例えばジャズのグルーヴとファンクのグルーヴは全く異なるものである。それは楽器の扱い方や、身体の使い方が異なっているためである。尚、ここでマイルスデイヴィスの名前を挙げた貴方は意地悪だ。

 ブルースのグルーヴもやはり他の音楽とは違う。これには語弊があるが、ブルースのグルーヴというのは、確かに確立しており、万人がそれをブルースのグルーヴだと認識できるほど個性的なものではある。では何故、筆者は先程語弊があると述べたのかと申せば、ブルースが他の音楽ジャンルに与えた影響が、非常に大きいからである。ジャズにもファンクにもソウルにも、やはりブルースから影響を受けていることは否めない場面も生じるのだ。別の言い方をするなら、ブルースのグルーヴを習得することが出来るのであれば、他の黒人音楽での演奏で応用することも可能になる。

 さて、ブルースのグルーヴで重要な要素は、やはりリズムである。シンコペーションを活用するブルースを、私はあまり認識していない。テンポが変わるブルースもやはり多くないだろう。(ジョンメイオールバンドにエリッククラプトンが参加したアルバムの一曲目、オーティスラッシュのall your loveはテンポが途中で変わる記憶がある)つまり、ブルースのリズムを習得することが重要である。

 ブルースのリズムは「三連符の空打ち」と呼ばれるリズムで演奏される事が主である。他の黒人音楽からリズムを吸収したブルースも存在するが、大概のブルースは上記のそれで演奏する事が出来る。三連符というのは、1拍の中に音を3つ詰め込むものと認識して問題ないと思う。ベートーヴェンの運命の有名なフレーズ、「ダダダダーン」の最初の3音は三連符である。あれをイメージして頂きたい。その真ん中のダを抜いたものが3連符の空打ちたるものである。「ダッダダーン」になる。極端な話、ブルースのリズムはこれである。

 ブルースのリズムを語る際に「ハネる音」という輩がいる。(俺もそうだった!)がこれはどちらかというとジャズに用いられるリズムだと私は認識している。馬のリズムである。「タタッ!タタッ!」といったリズムだろうか。それでブルースをやるとおそらくしっくりくる演奏にはならないだろう。

 これらのリズムを取り入れるには、やはりその類の音楽を聴いて耳を肥やす必要がある。しかし、私の経験から申し上げるのであれば、いきなり戦前ブルースや、黒人のどブルースを聴いても全く楽しめない。何故なら、それに対する抗体を持っていないからだ。即ち、それらの抗体を生産すべく、それらに影響を受けたミュージシャンを聴いて間接的に取り入れる事が、最初の一歩になると私は考える。

 https://youtu.be/6TWdLqER014
ジョンメイヤーはSRVやJimi、クラプトンなどのブルースに影響を受けたミュージシャンの影響を受けたミュージシャンである。上記のは、三連符の空打ちのリズムの取り方が非常にわかりやすく、優れていると私は感じる。

 https://youtu.be/66m1sHLrU0A
エリックゲイルズも黒人ブルースマンだが、現代的で白人ブルースなどの影響を受けた逆輸入型のミュージシャンである。彼の身体の使い方を見て頂きたい。黒人のリズムは横ノリとよく言うが、語弊がある。正しくは縦横無尽に揺れているのだ。そこを意識して取り入れるだけでも、リズムの取り方は向上するだろう。(少なくとも俺は向上した)

 https://youtu.be/IUQ87Al-huo
キングフィッシュイングラムは、最後のブルースマンと称されたりする。(SRVがめちゃくちゃそれ言われてた)弱冠20歳くらいの年齢であのリズムを完全に物にしているのは、やはり民族間の差は否めないが、今からでもそれを習得するのは不可能ではない。生活の一部にブルースを持ち込むのは非常に難しいが、少しばかり集中して聴くと、近道になることは間違いない。ちなみに、歌謡曲しか聴かない黒人はリズム感がよくないらしい。それを習得するには、結局それを習慣付けるしか道はないのである。