あらかき

躁鬱の即席遺書

古典

放課後、俺は古典の勉強をしている。進路室にて。静かな部屋の中、静かにラジオのリクエスト曲が聞こえる部屋の中。少し寒くなってきた部屋の中。ボロボロになってきたパイプ椅子に腰掛けて。この後家に帰ったら絶対ギターを弾こう。お気に入りの曲を聴こう。そんなことを考えながら。それでも課題には真面目に取り組みながら。俺は古典の勉強をしている。

1人だけではない。俺の属するクラスの現代文を担当している古典のスペシャリストに教えを説いて頂いてる。この国語教師、俺は、先生が大好きだ。この学校1のお気に入りの先生。チョコンと立っていて、可愛らしい。そして、おっとりしていて、お茶目。でも、偶に見せる、余裕がない時。その時少し、雑になる。この人間臭さが、愛おしい。俺は、この先生が大好きだ。そんな先生と、ワンツーマンの講義。或る詩から言葉を借用するのなら、2人だけの世界。ハハハ、愉快、愉快。俺が気障で気持ち悪いこと、俺がよく知ってるのさ。俺は1人ではない。ない筈だ。

記憶が正しければ、10月の半ば頃から古典を学び始めた。この短期間で、俺は古典の基礎が何となく分かってきた。が、これは本来、出来て当然の筈だった。生憎、俺は古典が苦手(そもそも教わった教員とのウマが合わなかったというのもあるの)だ。それ故に、古典の基礎が分からぬまま、自分の直感を信じて問題を解いてきた。しかし、それにも限界があると感じた。また、私立の大学とはいえ、文学を学ぶ学科に進学することになった。そんな中、これが出来ないとなると、非常に無謀で、馬鹿で、能天気で、恥知らずで、田舎者で、出来損ないで、無知で、非常識で、恩を仇で返しかねない、社会不適合として生きねばならない。尤も、俺がそれに該当していないとは言えないが、言いたいこと、分かってくれるだろう。今は全部は言いたくない。でも、俺の思う大学は、こんなにも厳かな場所なんだ。そうであって欲しい。恐らく、それは叶う事は無いと思うが。(でもって、幼稚っぽくて、良いね。気に入った)俺は、古典を学び始めて、良かったと思う。