あらかき

躁鬱の即席遺書

あゝひめゆりの塔を鑑賞しての感想

クリスマス、僕は「あゝひめゆりの塔」を拝見した。予定がなかったから。こんな簡単な理由で見るべきではなかったというのが感想の1つである。皆様には、こんなスタンスでこの映画を観て欲しくない。「ひめゆりの塔」と言うからにはテーマは沖縄戦ひめゆり学徒隊の話である。元は女生徒を中心に結成された未来の先生、看護師などを育成する学校の生徒たちである。戦争が激しくなるにつれて彼女らも戦争に巻き込まれると言ったストーリーである。

この映画はあらかじめ沖縄戦について興味関心を持って勉強してから鑑賞した方が悲惨さが伝わるだろうと思う。当然ではあるが沖縄県では、"沖縄戦の悲惨さ"について語り継ぐ活動にどの県よりも力を入れている。大和の地域ではそれについて多少議論していると聞いたことがあるが、それはさておき。僕はこの手の話を高校生になっても聞かされるのには少し疑問を抱いていた。何故なら、体験談を聞くのは小、中学生の間で十分だと思っていたからである。高校生になったので、何故戦争が起こったのかという経緯について学ぶべきだと思っていたからである。

さて、前口上はこの辺りで終え、この映画の感想を述べようと思う。体験談を聞くだけでは、戦争の悲惨さについて、十分に理解することが出来ないと感じた。実際にその恐ろしい映像を見ないと、あの悲惨な出来事を理解することが出来ないと強く思った。僕が1番衝撃を受けたシーンがある。空襲で足を怪我した女生徒が非難する際に壕に取り残され、動けなくなった兵士と一緒に配給された牛乳を飲むシーンである。これが何を意味するのかは、勉強してきた方は理解できると思う。分からなかった方は、是非とも沖縄戦について調べてみて、この映画を見てほしい。この場面の演出がとても日本人らしい感性だなと感じた。この映画は沖縄っぽさがなく、パラレルワールドを覗いてるような気持ちになるが、時代考証などは、方言を除くと中々完成度が高いと思う。それくらいしっかりとした作りになっている。また、見終えた後に、一番最初の場面を思い出す。我々は平和に慣れてしまっている。この70余年、そしてそれから先、僕は何ができるのだろうか。と考えたクリスマスであった。この話は本当にシリアスなので、苦手な人は観るのを勧めない。僕は見終えた後、無性に外に出たくなった。海の見える歩道橋を登り、平和を確認した後、自然と涙が出たのを覚えている。